概要・目標
京都府立医科大学大学院感覚器未来医療学講座ならびに視覚機能再生外科学教室は、日本で唯一の難治性眼表面疾患に対する先端的かつ国際的研究活動を実践している研究・臨床医学拠点です。オーダーメイド医療実現化プロジェクト事業においては薬疹を誘因とする難治性眼表面疾患であるStevens-Johnson症候群(SJS)について、病因や病態の増悪因子となる遺伝子や蛋白等を次々と明らかとし、国際的に脚光を浴びています。これは世界で唯一のSJS専門外来を有効活用した成果であり、未来医療における診断、治療の標的を系統的に示してきたといえると思われます。二国間共同研究事業を活用し民族間の差異に関する知見を集積しつつあり、国際的な蓋然性検証のための国際研究交流拠点化の必要性が浮き彫りになってきました。
また、ゲノム解析研究を基盤として免疫学的な組織恒常性維持機構の破綻に関わる分子群が明らかになり、異分野交流の必要性も明らかとなっています。本研究概念と期を同じくして、難治性眼表面疾患を含む重症眼疾患に対する新規治療として世界をリードする二つの再生医療(①ヒト培養口腔粘膜上皮シート移植術;先進医療Bに認可・厚労科研医療技術実用化総合研究事業採択課題、②水疱性角膜症に対するヒト培養角膜内皮移植術;再生医療ハイウェイ採択課題)を臨床の場で相次いで実践化し、国際的標準医療とすべく国際的な拠点化を模索しています。
当該分野の海外中核機関との連携は、独り研究交流のみならず、国際疾患ゲノム・臨床検体の活用という点でも、未来医療の実現化という先端研究推進に不可欠なものだと考えられます。京都府立医科大学は、平成21年度から24年度まで組織的な若手研究者等海外派遣プログラム事業として、”視覚機能再生研究における国際的・統合的視野を持つ橋渡し研究推進者の育成”を実行し、国際的・統合的視野を持つ若手研究者の育成に成功しています。この素地をさらに発展させ、先端研究を推進する国際的視野を有する若手人材育成に本申請事業が有効に働くことができると考えています。本研究では、ネットワークをさらに拡大し、個別化医療を推進する若手研究者を育成するとともに、国際的なゲノム研究を行い、病態に基づいた分子標的治療法の開発を推進します。