木下茂は、長年にわたって眼科学教室、視覚機能再生外科学のみならず京都府立医科大学の国際化を推進・実践してきた。その一環として、2008年からドイツのErlangen-Nuremberg 大学と、2009年からイギリスのCardiff 大学と、大学間学術交流協定を締結しており、毎年活発な若手研究者の国際交流を行っている。また、世界最先端の難治性眼表面疾患の治療を行っていることから、海外からの留学生も多く受け入れている。最近15年では、長期海外留学生を10名以上、短期海外留学生を70名以上受け入れ、世界最先端の診療・治療技術を世界に発信している。なお、長期海外留学生のAndrew Quantock, Che Connon、Samet Ermisは母国のProfessorとして活躍している。このような国際交流実績を背景に、平成21年度から平成24年度にかけて研究者海外派遣基金助成金(組織的な若手研究者等海外派遣プログラム)(課題名:視覚機能再生研究における国際的・統合的視野を持つ橋渡し研究推進者の育成)に採択された。これにより難治性眼表面疾患の臨床研究ならびに基礎研究に関する国際ネットワークをさらに拡大することができた。
また、日本側参加メンバーの上田真由美を代表とする日本―韓国、日本―インド、日本―ブラジルとの二国間交流事業では、相手国の難治性眼表面疾患の臨床病型の確認、患者サンプルのHLA解析により遺伝子素因の共通性とともに相違性についても上田真由美とともに明らかとしている。京都府立医科大学感覚器未来医療学講座ならびに眼科学教室では、疾患の臨床所見や表現型の認識を各国間で同一にすることにより解析する表現型を均一にすることを可能とし、国際共通の遺伝子素因を見出している。その成果の一環として、複数国の著者で構成される論文を複数報告している。